講評:渋田隆之先生
公立中高一貫校の適性検査は、長めの問題文を読み、そこから読み取れる情報などを使って、答えを導きだしたり、自分の考えを書いたりする問題が多く出題されています。また、単なる知識を問うだけでなく、論理的な思考力・情報処理能力・問題解決力などを見ることに主眼が置かれています。
出題の形式になれていない場合は、時間配分なども含めて思ったよりも上手くいかないこともあるかも知れません。ただし、しっかりと準備をすれば対応できる問題であるということも間違いありませんので、入試直前まで頑張り続けましょう。最後まであきらめないことが、合格への最大のポイントです。
適性検査 I
- [問題を見る] 資料やグラフの読みとりは、対策を丁寧に行っておきましょう。リード文が長いので、時間配分にも注意していきましょう。問題を先に目を通してから、必要な箇所に印をつけながら読みすすめていくというやり方も有効です。問題2のような、比較的大きい数字の計算も数多く出題されています。確実な計算力を日頃からつけるようにしておきましょう。また、今回の問題では必要ありませんが、必ず単位を確認するようにしておくような癖のつけておきましょう。問題3については、傍線部のみを見るのではなく、線の前にある「一方で」という接続詞などに目をつけて文章を読み進めていくと良いでしょう。「考えられることをまとめて書きなさい」という出題は自分の知っていることや考えを書くのではなく、<あくまでも問題文の内容から分かること>というラインを変えないようにする姿勢が大切です。
- [問題を見る] 行動計画の問題も頻出です。資料が多くて一見すると複雑ですが、資料の中に数字を書き込んでいくなどの作業をしながら解きすすめると解きやすくなります。特に問題3は、丁寧に作業ができれば、必ずできる問題ですので落ち着いて取り組みましょう。また、作業を要する問題は、クロスワードパズルやジグソーパズルのように、<分かったところから埋めていくようにする>と効率良く解けていきます。
- グラフの問題です。図2と図3の2つのグラフがありますが、図2のグラフの意味をしっかり理解していなければ解けません。関数の問題ですから、<縦軸と横軸が何を指しているか>を確認しながら、変化を見ていくことが大切です。
適性検査II
私立入試では国語に苦手意識があると、200字~400字程度の記述問題を最初からあきらめて、ほとんど何も書かない子供が見受けられます。しかし、適性検査Ⅱについては、表現力を問うために書く力そのものが問われていますので、書くことから逃げていては勝負になりません。いきなり完璧な答案を書こうとせずに、まずは短い文からでも良いので、①主語と述語のねじれがないように気をつける、②接続詞をうまく使うようにする、の2点に気をつけて、しっかりとした文章を書けるように心掛けいくことが必要です。そして、文章のテーマに沿った内容で自分の意見を読みやすく書けるようにしていくことが、得点アップにつながります。
今回の模擬試験が、成績向上になるだけでなく考える楽しさや学問の深さを知るきっかけとなれば幸いです。また、お子様の隠れた才能が発見できれば、これ以上の喜びはありません。最後になりますが、縁あって今回の模試を受検してくれた子どもたちの「合格」を心より祈念申し上げます。