小石川中等教育学校編
来年度、東京都の公立中高一貫校は共通問題(一部差替)となることは、既にお伝えした通りですが、各校独自の問題の最終年度である今春の検査問題を、来年の参考に何校分か見ていきましょう。
今回は小石川中等教育学校です。
ここ数年、応募者数が減少を続けていましたが、今年度は下げ止まった感があり、女子は14名の減少にとどまり、男子は33名の増加となりました。もっとも、倍率に換算してみれば、5倍超~7倍といった高倍率ですので、狭き門の人気校であることに変わりはありません。
検査はⅠ~Ⅲまであります。
問題はコチラ 共通問題となると、一番、学校独自のカラーを出せるのは適性検査Ⅲということになりますから、この部分の出題は難化する可能性があります(今でも十分難しい出題ですが)。適性検査Ⅰ(45分)-6ページ
「こだわり」「こだわる」という言葉について
問題1 | 「こだわり」を別の表現に改めて書く |
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問題2 | 「言語が死んでいない」が何を例えたものかの説明を書く |
問題3 | 筆者の姿勢を理由を含めて一文にまとめて書く |
問題4 | 自身の考えを異なる立場からの考えも含め,400字から440字で書く(※) |
適性検査Ⅱ(45分)-12ページ
外国人旅行者について
問題1 | 旅行者数の増え方が何倍(※1)であるか答える。そこから読み取れることも答える | |
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問題2 | (1) | 外国人旅行者の地域別の割合を計算(※2) |
(2) | (1)の結果を利用して帯グラフを描く | |
(3) | 旅行者の割合の計算(※3)と特徴を書く | |
問題3 | 旅行者の消費額の特徴を計算で求めた数値(※4)をもとに書く | |
問題4 | 外国人旅行者にしてもらいたい体験やわかってもらいたい日本のよさについて,120 字から140 字で書く(句読点も一字とする) | |
問題5 | 日本と他国の入国・出国者数,観光収入・支出を資料から読み取り,数値を用いて書く | |
問題6 | 外国人旅行者を増やすための考えを,140 字から160 字で書く(句読点も一字とする) |
適性検査Ⅲ(45分)-8ページ
①鉛筆と赤鉛筆、感熱紙について
問題1 | 鉛筆と赤鉛筆の消しゴムによる消え方の違いを理由とともに説明する | ||
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問題2 | 太陽光で変化する身近な例を理由とともに答える | ||
問題3 | (1) | レシートの印字が薄くなる原因を太陽光以外のモノで説明する | |
(2) | ① | (1)を確かめる実験の方法を説明する(図を用いてもよい) | |
② | ①の実験による予想結果を書く | ||
問題4 | LEDでレシートの印字を薄くすることができるか、その可否について、方法または理由を答える | ||
問題5 | (1) | ① | 書いた字を消せる例,消せない例のどちらかを説明する |
② | □の仕組みがどのようなものであるか説明する | ||
(2) | (1) をより便利にするためには、どうしたらよいか(くわしく)説明する |
②おはじきを結ぶ
問題1 | (1) | 6個のおはじきを各3本ずつの線で結んだ図を描く | |
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(2) | 2個のおはじきのみが同じ本数,残り4個が違う本数の線で結んだ図を描く | ||
問題2 | 100個のおはじきの場合,すべてのおはじきを違う本数の線で結ぶことはできないことの理由説明 | ||
問題3 | 6個の結ばれたおはじきが示され,結ばれているおはじきは異色とする場合,最低で何色必要となるか答える | ||
問題4 | 与えられたルール(※)にあてはまる,結ばれたおはじきの図を描く |
検査Ⅰ
問題1~問題3に字数制限がなかった、ということ以外は、過年度と大きな違いはありませんでした。
検査Ⅱ
7桁の割り算を何回か計算しなければならず、この辺を「上から3桁程度の概数」で計算できるかどうかで解答に割ける時間が変わります。 ちなみに、(1)では,その他の割合を(計算を楽しようとして)総計から他4地域の合計を引いて求めると、0.1の差異が生じ、また、上から2桁の概数で計算すると、アジアの割合に差異が生じるという、小さなトラップ(?)も隠し味となっています。 さらに問題3では、桁数は大きくないのですが、計算する回数がやや多く、選択した国の記述がうまくまとまらずに、慌てて他の国を選択し直したりしていると、解答時間に余裕がなくなってしまうこともあるかもしれません。資料から解答のvisionをしっかりと築けるようにしておきたいですね。
検査Ⅲ
お約束(?)の「お母さん・お父さん問題」です。 赤鉛筆で書かれたものが消えにくいということや、レシート(感熱紙)の字が薄くなる、爪でこすると黒くなる、といったことは多くの人が経験あることでしょうが、それを疑問に思って突き詰めていく姿勢がないと、いきなり解答するにはハードルが高いかもしれません。 パズル的な要素の「お父さん問題」は、例年よりやや優しかったのではないでしょうか? 2012年度の出題ミスによる影響ではないでしょうが、問題2の理由説明の記述以外は、さして時間もかからなかったと思われます。問題3も2色で出来ないことを確かめた後に、3色を調べると出来てしまい、「最低で何色」なのでそれで解答終了、と非常にあっさりしていました。 さて、この「お父さん問題」ですが、作問の元となったのは、東京で開催が決定した「オリンピック(の五輪のマーク)」なのではないかと考え、問題を作成する先生方の会話を勝手に妄想してみました。 以下はフィクションですので、怒らず軽い気持ちで読み流してください。教員B 「先生、適性検査の問題はできましたか?」 教員A 「オリンピックの五輪のマークを題材に問題を作ろうと思っているんだけど、良いアイディアが浮かばなくてね・・・」 教員B 「五輪ですか・・・和を5つバラバラにして線で結ぶとかどうですかね?」 教員A 「おっ、何か良い感じに問題ができそうですね・・・5つだと露骨なので6つくらいにして・・・」 教員B 「『輪』というのも不自然なので『おはじき』とかにしてみてはどうですか?」 教員A 「良いですね。おはじきなら年度と絡めて2014個とかでも出題できそうですね。」 教員B 「さすがに2014個だと多いので、100個くらいで1つ設問を設けるのが良いのではないですか?」 教員A 「そうですね。これに五輪のような色をからめて・・・」 教員B 「最後は、合格を祈願するように縁起良い『紅白』で1問作りたいですね」
こんな軽妙なやり取りがあったとは思えませんが、一つの題材(上では五輪のマーク)から派生して問題が作られていくと考えれば、何かしらの対策はできるかもしれませんね。