高い志 科学する心 未来を拓く力
2011(平成23)年4月、公立中高一貫校として、茨城県内では並木中等教育学校に続いて2校目となる県立日立第一高等学校附属中学校(以下、日立一附属中)が開校しました。茨城県内初の、併設型の中高一貫校です。
母体となる日立一高は、1927(昭和2)年4月、茨城県立日立中学校として開校した歴史ある学校であり、SSH(スーパーサイエンススクール)やSELHi(スーパーイングリッシュランゲージハイスクール)にも指定されている茨城県内屈指の進学校です。この名門進学校が附属中学校を併設するということで、期待の声も上々。初年度2011年の志願者数は421名で倍率は5.26倍、翌2012年は初年度の高倍率から受検を控えた層が増えたこともあり、志願者数は401名で倍率は5.01倍と減少したその一方で、日立市外からの受検生が増加しているとのことです。
人気の理由の1つに、特徴のある教育内容が挙げられます。日立一高では、附属中の開校以前から理数教育に力を入れており、2007(平成19)年度から第1期、併設中学校を開校した2011年度からは第2期となる5年間のSSH指定を受けました。現在では「日立一高・附属中ビックバンプロジェクト」と称して、さらに高いレベルの理数教育を手がけています。「日立一高・附属中ビックバンプロジェクト」では、生徒一人一人の未知なる力を、たくさんのきっかけを通して、大きく・広く・世界へ伸ばしていこうという企図のもと、以下の3つのテーマを設定しています。
- 日立サイエンスステーションとしての在り方の研究
地域の小中学校・大学・研究機関・民間企業・NPO団体などとのたくさんのつながりを活かし、情報の共有と発信をしていく。
- 国際社会で活躍するためのグローバルスタンダードを超えた能力を持つ人材の育成
国際社会で活躍するために重要な、英語の発展的学習や体験学習のプログラムなどを実施する。
- 併設型中高一貫校の特色を生かした「個」のサイエンスリテラシー育成教育
科学を理解し、活用する力を生徒一人一人が高められるよう、さまざまな取り組みを行う。
そして、これらのテーマを基に「豊かな人間性と高い知性を有し、日本そして世界の未来を拓く次代のリーダーを育成する」という教育目標を掲げています。
こうした教育目標推進のため、1コマの授業時間を55分(標準の公立中学校は50分)に設定、さらに国語・英語・数学を中心に、標準の公立中学校と比べ、約420コマも多く授業を実施する他、先取り学習も取り入れています。高いレベルでの指導の成果は、中学1年終了時に英検3級取得者が5割超という現在の中2生の結果にもあらわれているとおり。もちろん、勉強だけではありません。日立一高の学校像である「文武両道の精神」に則り、中学校の生徒全員が部活動に所属、個々の活動に励んでいます。
以上のように、日立一附属中は他の県立高校や公立中高一貫校を参考に開校されたという印象です。「他の公立学校と切磋琢磨しながら、高い教育を行っていければよい」と郡司校長はおっしゃいます。それぞれの学校がそれぞれの生徒にあった教育を行っていければ、教育そのもののレベルアップが期待できるでしょう。5年後の同校が、どのような卒業生を送り出してくれるのか、今から楽しみです!